低学年には遊びながら発想させることが多々あります。指導者が子どもたちと一緒にサッカーを遊ぶとき、3つの狙いをもって、遊ぶことにより指導しています。
1)イメージ・発想を誘発
ロジックコーチング(論理的に働きかける)
プロでは、指導者より選手の方が上手いのが普通。論理(ロジック)でサッカーを指導することによって、「この人の話を理解していくと上手くなる。強くなる。」と信頼関係を結んでコーチングしていく。
プレイコーチング(身体に働きかける)
年齢が低い程、プレイを魅せたり。映像でプロのプレイを魅せたり、イメージを膨らませる工夫が必要になってきます。子どもは、見てイメージを膨らませることで、できるようになる能力が高く、イメージから身につけた動きは自然で柔らかい。逆に年齢が高くなるにつれて、目で見て動くことが難しく、論理的に動きを教えることによってイメージを持たせる必要がある。
他のスポーツでも、アイスホッケーでは、子どものころにイメージから身につけた子の動きは自然で柔らかく、大学生からはじめた選手は、イメージと共に「なぜ速く滑れるか?」を論理的にも教えていくと速く滑れるようになっていく。しかし、動きは固い・・・。
ゴルフでも、子どものころにイメージで身につけた子は自然で柔らかく、大人からはじめた人は飛距離は伸びるが動きは固い・・・。強さ、速さは大人になってからでも伸びるが、 柔らかい動き、柔らかい発想は、子どものころに伸ばす必要があります。
子どもはいいプレイを見るだけでいいのか?
子どもは、プレイコーチング(身体に働きかける)によって、見てイメージして自然な動きを表現する。では、ロジックコーチング(論理的に働きかける)は不要なのか?
もちろん、子どもの頭に働きかけることは非常に重要ではあるが、それは論理中心ではないと考えます。子どもは論理的に考えることより、脳でイメージを三次元的に捉えることが得意です。
そのため、子どもに話すときは、論理中心ではなく、『イメージが膨らむ話』や『発想が誘発される話』によって脳に働きかけ、イメージを作り伝わることが大切です。それが論理的につながっていくようにしていく。
ダマスことを魅せる。ずるいことを魅せる。驚くことを魅せる。空中を魅せる。サッカーの楽しさを魅せる。・・・大人が一緒にプレイして遊ぶ中で、プレイと言葉によって、イメージと発想を誘発させることには意味があります。
2)負荷のコントロール
2つ目は、大人の間合いは長いため、子どもへのプレッシャーの負荷をコントロールすることが可能です。
● 初めは軽いプレッシャーにより子どもにボールを保持させるが、自分の円から離れるボールは奪う。
● 円の中でコントロールできる子どもには、駆け引きのないプレイは阻止するが、駆け引きのあるプレイにはダマされる。
● ボールを隠すプレイは奪うが、こちらの脳を上回ろうと向かってくるプレイにはダマされる。
● 駆け引きのないパスはインターセプトするが、発想したパスにはダマされたり・・・。
● 詰めるスピードを少しづつ高めたり、足を伸ばす間合いを少しづつ伸ばすことによって、駆け引きレベル、ボールコントロールレベルを高める。
・・・etc
各自のレベルに合わせて、負荷をコントロールすることによって、技術を磨いたり、発想することを誘発させていく効果があります。
3)伝わる力の+
『伝えることが大事なのではなく、伝わることが大事。』
● 話すこと100%の指導者
● 話すこと50%+プレイ50%の指導者
● 話すこと10%+プレイ90%の指導者
どんなバランスであれ、指導者は、子どもたちのイメージをどこまでも膨らませることができる反面、簡単に萎ませることもできてしまう・・・また、その子の心を広げることもできれば、狭めてしまうこともできてしまう・・・子どもたちが、どう感じているのかを観察して、言葉を二次元的に伝えるのではなく、イメージを三次元的に膨らませられる指導者は、子どもたちにとって良き指導者だと思います。
子どもたちは、成功と失敗の中で、ボール技術を磨いています。
指導者も、子どもたちを観察して、伝わる力を磨き続けることに終わりはないと思います。
選手は、ボール技術が表現方法であり、それによって人を動かす
指導者は、観察力と伝わる力こそ表現方法であり、それによって人の心を動かす