▼ 自分がコントロールできる円

あらゆる球技において、「自分がコントロールできる円」が勝負を分けます。しかし、サッカーでは少し異なるようです。

バスケットボールでは、「自分がコントロールできる円」の中でドリブルします。自分の円からボールが出るときは、パスかシュートかコントロールミスしたときです。

アイスホッケーでも、1.6mぐらいのスティックを扱える範囲が「自分がコントロールできる円」になり、その円の外にパックがでると氷上に摩擦がないため、パックは滑ってどこかに行ってしまいます。この競技でも、自分の円からパックが出るときは、パスかシュートかコントロールミスしたときです。

ラグビーなら尚更、離れたボールはどこかへ転がっていきます。野球のピッチングでも、ゴルフでも、格闘技でも、「自分がコントロールできる円」の中でプレーすることは重要です。

サッカーもそうあるはずですが、少し異なるようです。


▼ 円の外のドリブル?

サッカーでは自分の円の外にボールが出ても摩擦で減速し、相手より先にボールに触ればドリブルになります。相手より先に触り続ければ、円の外に出たボールをドリブルに変えていけます。他の競技と違い、円の外に出るときはパスかシュートかコントロールミスにはならず、コントロールしているという結果?認識?錯覚?におちいってしまいます。

特にジュニア年代では身体能力の差が大きく、「自分の円の外のボール」を先に触って交わしていく選手。勝つためにそれを賞賛せざるえない指導者、保護者。そして子どもたちも、そういう活躍をすることが、サッカーを上手いと勘違いしてしまいます。しかし、それは本当に上手いのか?それは身体能力の優位性ではないのか?を見極める必要があります。

同年代の中で圧倒的に速い子どもがいても、大人には通用しない。これはJリーグでは円の外に強い選手でも、世界では全く強みにはなっていないことと同じだと思います。円の外でボールを扱うことは、自分より同等または格下の相手には通用しても、自分より格上の相手には通用しません。


▼ 円の中のドリブル

しかし「自分の円の中」で強さを発揮できる子どもは、大人の中でもプレーできます。そのためには、育成年代で「円の外」の勝負で負けることがあっても、それは「自分に才能がない」などと決して思わないように、子どもたちに「上手いとは何か?」を知ってもらう必要があります。

それを理解している子どもは、現時点の体格差による負けなど、意に介することもなく、他の競技と同じように「自分のコントロールできる円」の中で、圧倒的なスキルを磨いていきます。円の外で勝てても、円の中が下手な選手は上手いとはいえない。

自分の円と相手の円が重なった瞬間に、相手よりも0.5秒でも先に触っていくのは誰なのか?自分の円の中では無敵になる。